Fade Theory 第2回。
前回は、「硬水」と「軟水」、そして洗濯用洗剤との関係性について整理した。

そこで見えてきたのは、水の硬度そのものよりも、「どんな水で、どんな洗剤を使うか」の組み合わせが洗濯結果を左右するということだった。
では実際に、世界の水の硬度にはどの程度の差があるのか。今回は、日本・アメリカ・ヨーロッパの地域差に着目してみたい。
2017~2020年のサンプルから得られた国別データは以下のとおり。

▶ 日本は世界的に見ても軟水
World Health Organization の分類では、水の硬度は次のように区分される。
- 60 mg/L未満 → 軟水
- 60〜120 mg/L → 中硬水
- 120〜180 mg/L → 硬水
- 180 mg/L以上 → 非常に硬水
Scientific Reports に掲載された日本全国665地点の調査(2017〜2020年)では、日本の水道水の平均硬度は48.9 ± 25.8 mg/L、中央値は46.0 mg/L。
つまり、日本は全国的に見て明確な軟水圏にある。
ちなみに、日本国内での硬度トップ5は、千葉県(83.4 mg/L)、次いで埼玉県(82.8 mg/L)、熊本県(72.2 mg/L)、沖縄県(68.1 mg/L)、東京都(65.8 mg/L)と続く。ただし、年間を通して硬度の変動範囲が±20%程度変化する可能性に触れているため、順位の変動は十分にあり得る。
各県別の硬度については、下図のとおり。

▶アメリカ本土の硬度
「アメリカの水=硬水」というイメージを持つ人は多いかもしれない。
しかし実際には地域差が非常に大きい。
ジーンズ文化の原点のひとつであるサンフランシスコは約47 mg/Lと軟水。
また、かつてセルビッジデニムの象徴的生産拠点だったグリーンズボロー周辺も軟水〜中硬水に分類される。
さらに、ニューヨークでは約29 mg/Lというデータもある。
もちろん内陸部には非常に硬度の高い地域も存在するが、西海岸・東海岸の主要都市を見る限り、日本人が想像するほど極端な硬水環境ではない。
▶ ヨーロッパは硬水傾向が強い
一方でヨーロッパは事情が異なる。
広い範囲で硬水傾向が強い。
その背景にあるのが水源の違いだ。
ヨーロッパでは石灰岩地質を通った地下水を水源とする地域が多く、水にカルシウムやマグネシウムが多く溶け込む。
対して日本は、河川やダムなどの地表水を主な水源とする地域が多く、ミネラルの溶解量が比較的少ない。
この地質と水源の違いが、そのまま硬度の違いになって現れている。
▶まとめ
・日本の水道水は全国的に見て軟水
・アメリカ本土も沿岸主要都市は軟水〜中硬水が多い
・ヨーロッパは広い範囲で硬水傾向
・硬度の観点だけを見ると、日本とアメリカ本土の洗濯環境に大きな差は見えにくい
そして見えてくる結論はひとつ。
少なくとも、「アメリカの水だから特別に色落ちする」という考えを、水の硬度だけで説明するのは難しい。




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